久々のブックレビュー
ちょっと変わった本を読んでみました





いや、別に原始人の生活に興味をひかれたわけじゃありません

原始的な環境に身を置くと、人間はどんなことを感じたり、肉体や精神にどんな変化があるのか、ということに興味があったからです

カバーにある本文からの抜粋には

生きるか死ぬかの状況に身を置くと、生きるために何が必要かわかってくる。
そうすれば、大きな力を得られる。
ありとあらゆる感覚が研ぎ澄まされ、聴力が高まり、視界がくっきりする。
病み付きになる体験だ。
本文より

と書いてある

これはそそられる・・・
大きな力ってなんだろう


smile



人間にはきっと、失ってしまった能力があると僕は思っている

生き物としての直感のようなもの
あるいは身体的能力

それは、身体をないがしろにしてしまったことで衰えたのかもしれない
そして、自然との繋がりを失ってしまったからかもしれない
あまりに都市化して管理された世の中で暮らしているから鈍くなっているのかもしれない

ヒマラヤの奥地で瞑想する人の中には、予知能力のようなものを発揮する人がいるというし、最後の日本兵・小野田少尉の本には、夜でも木々に隠れる敵が光って見えたとか、弾が見えたとかいう話もあった
アボリジニは水も持たずに砂漠を旅しても必要な時にオアシスを見つけるという
あるいは江戸時代の飛脚の1日の移動距離と速度などなど。。

尾ひれのついた話もあるだろうけど、非科学的という理由で全否定してしまうほどには、僕らは自分自身のことをよく知らないんじゃないだろうか


とはいえ、こんなに便利になった世の中でもう一度原始人のように暮らす、というのも無理な話
せいぜい田舎でスローライフしたり、山に登ったりするくらい

しかし、この本の著者はガチ原始生活を追求している

人類


僕は知らなかったんだけど、この著者はディスカバリーチャンネルのサバイバル番組でおなじみの人らしい

腰布一枚で手作りの道具を持って、狩猟採集生活を実践してるツワモノだ

「こんなことをやっている人がいるのか・・・」という驚きと興味
おそらく殆どの人にとっては無意味に思える生活に、命と人生をつぎ込んでいる

そのつぎ込みっぷり、半端じゃない

例えば、遠距離になってしまった彼女とのエピソード

著者のマットは動物の皮をなめすことにご執心
森林レンジャーの彼女と何ヶ月も会えずにいるときの心情をこう記している

僕たちはお互いにやるべき事を尊重した
彼女の場合は教育を受けること、僕の方は皮をなめす作業だ

なにちょっと決意表明みたいな感じで言ってるんだ?マット
 
動物の皮をなめすことにそこまで執着する意味がもう凡人には理解不能
何ヶ月も会わず、皮をなめす作業を尊重してくれる彼女の忍耐をよそに、こんなにも堂々と皮をなめし続ける男を他に知らない

しかし、クリスマスシーズンのある日、彼女から「一緒に暮らしたい、ここにいて欲しい」と懇願される

その言葉にもちろん我らがマットは・・・

自分の課題を投げ出すなんてできないと言った
「なめす作業を完了しないといけないんだ」
真剣そのもので告げた。

漢です。もしくは完全に原始人です。

ちなみにこれがきっかけで彼女と別れることになるが、文章からしてまったくそのことに疑問を感じていない節がまたそこはかとなく恐ろしい

line_19



本を読むまではちょっとばかり原始生活に至るまでの経緯に、現代社会に対するアンチのような思想があってのことだろうか、と期待していたのだけど、読んでみるとどうも子供の頃から自然を走り回るのが大好きで、ヒーローは「ターザン」という根っからの原始人のようだ


まあすごい後づけで現代社会批判みたいなことも言っているんだけど、「でもその前にそういうのが大好きなんだよな?お前」ってなる

とにかく、この本は8割が実際に腰布一枚で一人自然の中で冬越しとか、手作りのサンダルはいて一日100キロくらい走る、とかそういうむちゃくちゃな冒険話として、それはそれで楽しく一気に読んでしまった。。。


とはいえ、僕が期待したような話もあることはある

必要以上に食料を取らずにいると、代謝がセーブされて一日800カロリー程度の摂取でも十分になるとか
靴を履いた方が実は怪我をしやすい、とか(本当かどうかしらんよ)
だんだんと原始人になるにつれ、五感が研ぎ澄まされていき、しまいには幽体離脱みたいなものまで経験してしまう(それだよ!マット!)


中でも一番気に入ったフレーズがある

「自然と絆を結ぶ」という言葉だ

彼が自然の中に入って行く時には、自然に対して敬意を持って、自然が心を開いて絆を結べるまでじっくりと時間をかけるんだそうだ

絆を結べば自然が守ってくれる
絆を結べば自然はむしろ、都会より安心なのだという(その割に何回か死にかけているが)

それは、世界に対しての言葉のようにも聞こえた

全てに対し、心をオープンにして、絆を結べば守ってくれる

世界に対して心を開いているか、と自問してしまう

無意味に恐れていないか
未知のものを
経験することを
未来を
人を
社会を

心を開いて、絆を結べばそれらは守ってくれるのかもしれない


こういう人も、いるんだなあ、と思って読んでみると意外と面白い

でも、やっぱりちょっと変わってるぜ、マット

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